今、あらゆる体験が買い物(コマース)と結びつき始めています。Instagramもショッピング機能を搭載したことは話題になりましたが、2020年11月にAmazonプライムやNetflixなどがコマース機能を搭載することが伝えられました。つまりストリーミングとコマースの融合です。こうした体験にコマース を取り入れた手法は注目されており、今後、SNSや映像だけでなくゲームやライブ、VRなど様々なシーンにおいて体験と買い物が結びついていくと考えられます。そして、そうした新たな販売手法に取り組む企業も増えています。例えば、三越伊勢丹はデジタル化を積極的に進めており、資生堂や芸人などと共同で、ライブコマースに取り組んでいます。
ただし、これらの体験とコマースの融合は2021年にすぐに花開くというわけではないでしょう。実際にライブコマース市場ではメルカリチャンネルやYahooショッピングLIVE、BASEライブなど多くの企業が撤退しており、独身の日で一人で何十億円と稼ぐ中国とは対照的に、日本での普及率はまだまだ上がっていないのが現状だからです。実際に翔泳社とマクロミルの調査によると、ライブコマースについて「聞いたことがある」というレベルでさえ約20%程度で、ライブで購入した経験はわずか3%程度に過ぎないという結果が出ています。しかし一方で、ライブコマースを使いたいという人は23%程度いることがわかっています。特に服や家電、コスメ、家具など、機能の違いが一見するとわかりづらい商品や、世界観やコンセプトへの共感が必要な商品については、体験をしてもらって好意度が高まったところを逃さず購入してもらうことが重要になってくると考えられるのです。