1)AI
「Artificial Intelligence」の略で、人工知能のこと。進化したAIは、ディープラーニングによって膨大かつ複雑なデータを高速で処理・分析することができる。流通業界においては、顧客のビッグデータとAIを活用することで精度の高い需要予測や来店者の行動分析を行い、大幅なコスト削減や最適なマーケティング/プロモーション活動を行うことが可能となる。
2)IoT
「Internet of Things」の略で、「モノ」がインターネットを経由してユーザーと通信したり、アクションを指示したりできる状態を指す。このインターネットに繋がるものを「コネクテッドプロダクト」「スマート製品」と呼ぶ。これまでインターネットを繋ぐものと言えばPCやスマホだけだったが、今後はライフスタイルを取り巻くあらゆるモノがIoT化されていく。IoTによって、顧客ビッグデータの蓄積は加速度的に増えていくだろう。
3)CX
「Customer Experience」の略で、「顧客体験」の意。特定商品の使用体験を表す「UX」よりも広い意味の言葉で、顧客がブランドを認知してから商品を購入・利用するまで、すべてのタッチポイントにおける体験がCXとなる。例えばECサイトの使い勝手など細かい部分も重要なCXである。いかに良いCXを総合的に積み上げられるかが売上を左右すると言っても過言ではない。
4)AR/VR
ARは「Augmented Reality(拡張現実)」の略で、実際の風景に仮想の視覚情報を重ね合わせる技術。スマホでARを活かした「ポケモンGO」のヒットは記憶に新しい。汎用性も高く、仮想の家具を実際のサイズ感で自宅にレイアウトするなど実用的なアプリも多い。一方VRは「Virtual Rearity(仮想現実)」の略で、コンピュータが生成した仮想空間を、まるで現実であるかのように体験できる技術。ヘッドセットなどの道具が必要となるため、現状ではARと比べると汎用性が低い。ARやVRをまとめて「XR(Cross Reality)」と総称することも。
5)5G
「5th generation」の略で、4Gに代わる次世代の通信規格。超高速大容量・超低遅延・多接続性が謳われており、通信速度は4Gの1000倍、一度に接続できる端末の数は100倍にもなる。5Gは、自動運転の実用化をはじめライフスタイルのあらゆるシーンでパラダイムシフトをもたらすだろう。国内の通信企業各社は、2020年での実用化を目標として掲げている。
6)オムニチャネル
「Omni(すべての)」と「Channel(経路)」を表しており、自社が持つあらゆる販売チャネルと顧客接点において購買に結びつけるためのマーケティング戦略を指す。オムニチャネル戦略を推進するためには、各チャネルごとの顧客データを統合し一元管理することが必須となってくる。
★EC編
7)チャットボット
ユーザーが入力したテキストや音声に合わせて自動的に対話(Chat)できるロボットのこと。あらかじめ決められたやり取りを自動的に行うことに特化しており、AI(人工知能)に対して「人工無脳」とも呼ばれる。主に顧客サポートの効率化に多く活用されており、ユーザーは自ら細かい検索をせずとも、気軽にリアルタイムで必要な情報を得られると言うメリットがある。
8)フロントエンド/バックエンド
ECサイト運営のための業務は「フロントエンド」と「バックエンド」のふたつに大別できる。フロントエンドとは、売れる商品の企画開発や商品の仕入れ調達、ECサイトのデザインなど、ユーザーの目に止まる部分の業務全般。バックエンドはサイトの保守や商品登録といったユーザーの目に止まらない部分の業務全般を指す。どちらが欠けてもサイトの運営は成り立たない。
9)ウェブ接客
ECサイト上において、実店舗と同様の接客を実現することを指す。上記チャットボットも含め、購入を迷っているユーザーに最適なレコメンド商品やクーポンを表示するなどの様々なウェブ接客ツールが存在し、多くの企業が目的に合わせてそれらを活用している。ウェブ接客により販売チャンスのロスを減らすことが期待できるが、大切なのはどのツールを使うかの前に、顧客が何を求めているかを正しく把握し戦略を立てるマーケティングであることは言うまでもない。
10)在庫一元化
モール型など複数のECサイトで商品を販売する場合に、在庫をECごとに分けて管理するのではなく、一箇所にまとめ、どのECでも同じ在庫商品を販売すること。どこかのECで在庫が切れるということがなくなり販売機会のロスを防げることや、在庫管理の効率化などがメリットとして挙げられる。近年、BEAMSなどオムニチャネル戦略が浸透しつつある企業では、実店舗とECの在庫も統合する動きも出ている。
11)EC化率
すべての商取引のうち、ECが占める割合を指す。日本国内のEC市場規模は16兆円超。その中でEC化率は約5.8%。これは中国の約15%やアメリカの約10%といった数値と比較するとかなり低い数値である。
12)ウェブルーミング
ECサイトでレビューなど商品の詳細情報を事前に調べた上で、オンラインでは購入せず実店舗で購入する消費行動のこと。商品のサイズや使用感など、実際に触れてみないと分からないと買えないという心理に起因する。その逆の消費行動(実店舗で商品を確かめた後、価格の安いECサイトで購入する)を「ショールーミング」と呼ぶ。最近ではOMO戦略の観点から意図的にショールーミングに特化した実店舗も登場している。
13)DtoC(D2C)
「Direct to Consumer」の略で、製造した商品を卸業者や実店舗を介すことなく直接顧客へ届けるビジネスモデルのこと。中間マージンや店舗の人件費を抑えることができるため、消費者に対して価値の高い商品をリーズナブルな価格で商品を提供できる。ブランドのメッセージが消費者にダイレクトに届けられるため、ロイヤルカスタマーを育てやすくなるというメリットも。
14)音声検索
アレクサなど音声AIがさらに進化し、スマートスピーカーが一般家庭に普及すれば、消費者がこれまでスマホと指を使って行なっていた検索を音声で行うようになる日が来る。そしてそれに伴い、企業のデジタルマーケティングにおいて「音声検索におけるSEO対策」も必須項目となるだろう。
★店舗編
15)ニューリテール
アリババグループ創業者、ジャック・マー氏が提唱するコンセプト。これまで分断されて考えられてきたオンラインとオフライン、そして物流はそれぞれ融合し、全く新しい顧客体験を生み出すことを目指している。アリババが運営する上海のスーパー「盒馬(フーマー)」は、まさにそれを体現したECであり店舗であり物流倉庫でもある存在。
16)スマートストア
ITを駆使して様々な課題を解決し、顧客の購買体験を向上させている店舗のこと。顔認証技術を利用する無人店舗の「Amazon Go」や、スマートカートを導入しレジレスを実現している「トライアル」などが一例として挙げられる。経産省は2025年までに全商品にRFID(電子タグ)の取付けることを大手コンビニ5社と合意しているが、これもスマートストア化の流れと言える。
17)モバイルオーダー
アプリを使ってスマホなどから事前にオーダーと決済を済ませておくことで、店舗で待ち時間なく商品を受け取ることができる販売スタイル。アメリカではスターバックスやマクドナルドなどで浸透し始めており、日本でも、大丸東京店地下1階の弁当や寿司ブリトー専門店「beeat sushi brito Tokyo」などがこのスタイルを導入して営業を開始している。
18)OMO
「Online Merges with Offline」の略であり、直訳すると「オンラインとオフラインの融合」のこと。O2Oと混同されがちだが、O2Oは販売チャネルが中心の話であるのに対し、OMOでは顧客データをフル活用し、あらゆるタッチポイントで徹底的に顧客の購買体験を高めることを重視する。OMOを体現している店舗としては「盒馬(フーマー)」などが挙げられるが、そこからも分かる通り、OMOはニューリテールのコンセプトに深く関係した戦略となる。
19)体験型店舗
単に「モノを売る場所」ではなく、特別な買物体験を提供することに主眼をおいた実店舗のこと。消費者は、たとえその店舗で実際に商品を購入しなくても、その時の体験が大きなブランド価値となれば違う機会で購入に繋がる可能性は高まる。もはやチャネル、アプリなど)ごとに売上を分けて見る時代は終焉を迎え、全顧客データの一元管理がますます重要になってくるだろう。
20)軽減税率
今年の10月1日に実施される消費税10%への増税とともに運用が開始される経過措置。毎日購入するような生活に密接したもの(アルコールを除く飲料、食料、そして新聞など)に関しては税率をこれまでと同じ8%に据え置くというもの。それらの商品を扱う店舗は複数の税率を扱うことになるため、現場の混乱を回避するためにもレジの改修など早めの対策が必要である。