パルス消費とバタフライ・サーキット

2019年6月にGoogleが発表した消費行動がパルス消費です。もともとスマートフォンが普及した現代では、日々のちょっと気になったことを即座に検索できるようになりました。その影響により、スマホを操作しているときに突発的に「買いたい気持ち(パルス)」が高まって商材を検索し、それを発見した瞬間に購入の意思を固めるといった消費行動、すなわち「パルス消費」が消費者の間で見られるようになってきたのです。今までのAIDMAやAISASなどの段階を追った消費行動ではないことと、衝動買い/一目惚れ買いのような初見の商品ではなく日常的に購入している商品にまで起こることがわかっています。

さらに2020年1月にGoogleが発表した消費行動がバタフライ・サーキットです。その行動の特徴は、

「さぐる」と「かためる」を行ったりきたりすること。

例えば、最初は検索で情報を集め(さぐる)、さらにより深く決断材料を揃えるために詳細に検索(かためる)、
その後購入を再度迷い友人の口コミを検索し(さぐる)・・・
というように何度も繰り返しながら、ある瞬間に購買意欲が高まって購買に至ります。

もともとパルス消費をさらに調べるためにGoogle社が調査したところ、これまではパルス発生後に即商品を購入すると考えられていましたが、実はパルス発生と実際の購買行動との間に“時間差”があることがわかったのです。そこでGoogle社は、この情報検索をかき立てる潜在的な動機を「気晴らしさせて」「学ばせて」「みんなの教えて」「にんまりさせて」という『さぐる検索』、「納得させて」「解決させて」「心づもりさせて」「答え合わせさせて」という『かためる検索』の2パターンに分類したのです。

こうしたバタフライ・サーキットでは、当初買おうとしていた商品が、ちょっとしたネガティブ体験により瞬時に他社商品への購入に切り替わることを示しています。つまりECや店舗も含め、あらゆるタッチポイントを増やしながら、それぞれのタッチポイントにおいてより統合された有機的な体験設計が必要なのです。